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テロ等謀議罪について 16 共謀の捜査について

テロ等謀議罪について 16 共謀の捜査について

 共謀罪に対する捜査では、犯罪の捜査のあり方が一変すると予測されます。
 といいますのも、共謀罪は、実行された犯罪ではなく、共謀したかどうかということが重要になり、直接的な「被害」のない犯罪ということになります。
 すると、犯罪場面からさかのぼって犯人を特定する従来の捜査手法では、到底対応できません。
 すると、まだ何の犯罪も犯していない人々を、日常的に監視することになるわけです。
 また、「合意」が犯罪となるわけですから、人々の会話や電話・メールの内容そのものが犯罪となり、その録音やデータが証拠となります。
 つまり、日常的な会話やメールそのものの内容を監視することが、共謀罪取り締まりの主要な部分となって行かざるを得なくなります。
 上記のことを考えれば、共謀罪の捜査は、盗聴がおもだったことになります。
 つまり、共謀罪の成立にともない、盗聴法が改悪される可能性が非常に高くなります。

 現在の盗聴法では四つの重大犯罪(殺人・麻薬取引・密航・銃器関連)だけを対象とし、盗聴できるのも通信(電話・FAX・メール)に限られています。
 これに、共謀罪が適用されると、結果的に適用範囲が拡大され、通信のみならず、室内会話も盗聴できるように法律が変えられていく可能性が非常に高くなります。
 なぜなら、共謀は、通信(電話・FAX・メール)だけではなく、室内での会話も十分ありうるからです。

 さて、この盗聴法は、そもそも憲法違反でもあるという指摘も可能です。
 なぜなら、そもそも、通信傍受は憲法で禁止されているからです。
 その憲法は、
★★★ここから★★★
〔集会、結社及び表現の自由と通信秘密の保護〕
第21条集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
★★★ここまで★★★
 というものがあり、共謀罪の捜査はその性質上、上記の憲法違反になりかねない捜査が付きまといます。
 憲法は、国家権力が順守しなければいけない規則です。
 もし、法律が、憲法違反を容認したとき、国家権力が暴走する可能性を法案化していいのかどうか?
 というお話になります。
 憲法において、公務員は、通信、つまり、郵便・電信・電話・信号・パソコンを使ったコミュニケーション等の秘密を守るという決まりごとになっていますから、公務員は憲法違反しちゃいかんと判断せざるを得ないわけです。

 ただ、共謀罪が適用されるような犯罪は、公共の福祉に反する行為なのだから、その場合「通信の秘密」という権利は制限されてもやむを得ないのではないかという意見もあるでしょう。
 一見、一理ありそうですが、問題は、捜査段階において、確実に共謀罪を犯しているということなど見抜けるはずも無いという問題があります。
 容疑者は、あくまで罪を犯したのではないかという疑いであって、実際に犯罪を犯しているとは限らないということです。

 この中で、21条の、集会、結社及び表現の自由と通信秘密の保護は、無条件ではないという意見があります。
 憲法に定める国民の権利や自由には、公共の福祉に反しない限りという限定条件があるということが根拠のようです。
 しかし、その限定条件が合意の疑いの状態ではわかりようがないために、そもそも、 憲法に定める国民の権利や自由には、公共の福祉に反しているかすらわからないので、判断しようもないのです。
 判断できないのに、限定条件に当てはまるというのは、矛盾です。

 このように、共謀という合意の状態では、公共の福祉に反しているかどうかすらわからず、それを調査するための通信傍受は、たんなる国家権力の乱用だといえるのです。
 それでも、それを口実にすれば、今度は国家権力を制御するはずの憲法を骨抜きになってしまいます。

 さて、ほかにも、すでに通信傍受は所定の手続を経て認められる、犯罪捜査の一手法だから、かまわないのではないかという意見もあるようです。
 これについては、犯罪の準備もしていないものをどうやって合意したのかということが警察に証明することが不可能である。
 また、捜査令状を出す根拠が不明。
 というものがあります。
 つまり、現在認められている操作の一手法であるからこそ、その手法が乱用されないように制御すべきです。
 共謀罪が成立すると、犯罪の合意の時点で犯罪が成立します。
 すると、合意の疑いがあるというだけで、通信傍受の手続きが可能になるわけです。
 共謀罪に通信傍受についての条件がないのなら、冤罪も作り出すことが可能なザル法案だということになるので、慎重な検討が必要になります。
 私は犯罪は取り締まるべきだとおもいますが、それを理由に、冤罪を増やすべきだとは思いません。
 それに加え、公共の福祉に反しているかどうかすらわからず、それを調査するための通信傍受は、たんなる国家権力の乱用だといえます。
 憲法違反を促す法律は、国家権力の暴走を招きます。

 そもそも、共謀罪の立証、証明、証拠のための通信傍受が必要という発想自体が、ナンセンスです。
 順番がまったく逆なのです。
 憲法で、通信傍受が禁止されているのは、国家権力が国民を通信傍受によって監視し、プライバシーを侵害し、言論の自由を抑圧することを禁止するためです。

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 ここからは、ホームページ更新情報です。
http://homepage2.nifty.com/SON/index.htm
 今回は、小説を書こう! 第87回 発想技法 カードライティング 7を追加しました。
 次に、リンク集 相互リンク集 にWebで読む西洋哲学史&sakusaku動画まとめを追加しました。
 

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