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ムーシコスのバイオリン 1(呟き尾形の創作童話)

呟き尾形の創作童話・小説

 呟き尾形の創作童話・小説は、私、呟き尾形が創作した童話や小説を掲載するコンテンツです。
 既存の童話や小説や新たにかいたものも気まぐれにアップしていく予定です。

 私、呟き尾形が初めて書いた童話です。

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ムーシコスのバイオリン 1

さて、今日はどんなお話をしましょうか?
 おや?
 何の音でしょうか?
 何も聞こえませんか?
 そんなことはないはずですよ。耳を澄ませて・・・。
 聞こえませんか? 白い時計塔の銀色の鐘の音が。ちょうどいいですね。
今日は白い時計塔がある村に住んでいるバイオリン弾きの話をしましょう。
銀色の鐘の音が聞こえたあなたに、聞こえなかったあなたにも。

 昔々のさらに昔。白い時計塔のある村がありました。村の真ん中に大き
な白い時計塔が建っていて、時計塔は朝と昼と夕方の3回、鐘の音を鳴ら
すのでした。
 おそろしい魔獣レオーは、白い時計塔がお気に入りでした。レオーは前
ぶれもなくやって来て、白い時計塔の鐘の音を聞きにやってきました。で
も、機嫌が悪いと、村で暴れまわり村人を困らせていました。
 そんな乱暴な魔獣レオーでしたが、音楽を聴くと機嫌が直りました。村
の人たちは、音楽隊を組んで魔獣レオーの機嫌を取ろうとしました。
 村で一番音楽のことを好きなムーシコスは、音楽隊が組まれる話が出る
と、一番初めに音楽隊に入りました。
 ムーシコスは、普段は仲のいい兄弟とお話をするかのように毎日バイオ
リンを弾
いていました。たまにバイオリンとケンカしてしまう日は、隣のおばさん
に怒られてしまいます。そのときはしょんぼりしていても、次の日にはこ
りずにバイオリンを弾いてしまうのです。
 でも、ムーシコスは不器用だったので、練習中に後から音楽隊に入って
きた者より間違えが多く、よく指揮者に怒られてしまいます。
「おいおい、ムーシコス君。何回言えばいいんだい? 君の頭の中は鶏く
らいの脳ミソぐらいしかないのかい?それとも君の耳の穴はほらあなみた
いに空洞なのかい?」
「ごめんよ、アロペクス。分かっているんだよ。でも・・・」
「なんだい? ムーシコス君。君は指揮者である僕に逆らうのかい?」
 他の音楽隊の隊員は、指揮者のアロペクスに怒られているムーシコスを、
見て見ぬふりしていました。ムーシコスをかばって自分も怒られたくない
からです。
「ウオッホン! 準備はいいかい?」
 アロペクスは咳払いをしてから、両手いっぱいに指揮棒を振り上げまし
た。指揮棒に合わせて演奏が始まります。
 周りのバイオリンは、アロペクスの思う通りに弾けましたが、ムーシコ
スはあまりうまく弾けません。結局ムーシコスは仲間外れのまま曲は終わ
ってしまいました。
「ウオッホン! 今日はここまでにしましょう。
 それからみなさん。音楽は耳で聞くだけじゃありません。体全体で聞く
んですよ。
 ですから歌を歌うときは声だけじゃなく、心も音にのせればいいのです。
楽器も同じです。各自の楽器の手入れをしてから解散して下さい」
 音楽隊の練習は白い時計塔の日暮れの鐘で終わりを告げます。
(僕は音楽が好きで音楽隊に入ったけど、練習ではなんだか息がつまるな)
 ムーシコスはバイオリンをケースにしまいながら思いました。
「ねぇみんな! 今日は練習おしまい? じゃぁ私の歌に合わせて楽器を
弾いてよ。
 同じ曲ばっかり聴いててあきちゃった」
透き通るような声が白い時計塔の方から聞こえてきました。音楽隊の人
たちはみんな時計塔の方を見ました。
「ここよここ! どこ見ているの?」
 音楽隊の人たちは一斉に声のする方を見ました。声のしたところには白
い時計塔の隣にある樹の上あたりからです。
 その樹の枝に座って、音楽隊の人たちに手を振る女の子がいました。
 女の子はそこから飛び降りて、音楽隊の人たちのいる方に走ってきます。
「こんにちわ。私はリムネー。そこにいるアロペクスのいとこよ」
 リムネーがそう言うと音楽隊の人たちは一斉にアロペクスを見ます。ア
ロペクスは困ったような顔をしていましたが、一つ咳払いをしてごまかし
ました。
「アハハ! アロペクスったら、きどっちゃって」
「リムネー。よけいなことは言わなくてよろしい」
 アロペクスはリムネーに注意の言葉が出てきますが、視線はリムネーか
らずれています。
「なぁにが『よけいなことを言わなくてよろしいよ』よ」
 リムネーは、両手を腰に当ててアロペクスの口調をまねて言い返します。
隊員の何人かは思わず吹き出しますが、アロペクスが睨みつけて吹き出し
た隊員は、あわてて顔を背けます。
 それでもムーシコスがクスクス笑っていると、ツカツカとアロペクスが
歩いてました。
「ムーシコス君。君は明日から来なくてよろしい」
 隊員はそれをあわてて聞こえても聞かないふりをして楽器のかたづけを
続けました。ムーシコスの顔は蒼くなりました。
「な、なんでさアロペクス」
「君には音楽の才能がない。何度も注意したことはまるでダメ。君がいる
と音楽隊の合奏の微妙なバランスが崩れてしまうんだよ。いいかい。私は
君が私のことを馬鹿にしたように笑ったからこんな事を言ったんじゃない。
音楽隊のみんなと君のためにも言ったんだ」
「そんなひどいよ。僕は僕の音楽を弾きたいだけなんだ」ムーシコスは叫
びました。
「だったらなおさら、君は音楽隊で合奏する必要はありません。君だけの
音楽を弾きたければ君一人で弾けばよろしい」
「アロペクス! それは何でも言い過ぎよ。確かにこのバイオリン弾きさ
んはおせじにも上手じゃないけど、バイオリン弾きさんの弾くバイオリン
には何か引きつけられるものがあるわ。それが分からないあなたじゃない
でしょう? アロペクス」
 リムネーは、見るに見かねて思わず口を出します。
「リムネー。黙ってなさい。私は音楽隊の指揮者をしていてムーシコスは、
白い時計塔音楽隊の音楽にあっていないと言っているだけなんだ」
アロペクスはリムネーをなだめるように優しく言いました。
「なによ、アロペクスの頑固者の分からず屋!」
 リムネーはそう言ってからアッカンベーをしました。
「もうやめてくれ。僕がいなければ良いんだろう。アロペクス。みんな。
僕は今日から白い時計塔音楽隊を辞めるよ」
 ムーシコスは自分に言い聞かせるように言ってから、トボトボと歩いて
行きました。
「なによ。あんなに上手音楽ができる人たちだからいい人ばっかりだと思
っていたのに、みんな・・・みんな、だいっ嫌い」
 リムネーはアロペクスにアッカンベーをしてからムーシコスを追いかけ
ました。

「ふぅ。ちくしょうアロペクスの奴いい気になって・・・」
 ムーシコスは独り言を言いながら、バイオリンを大事そうに抱えて家へ
逃げるように帰りました。ムーシコスは心の奥底からアロペクスに言われ
たことがとても悔しかったのです。
 確かに、ムーシコスは自分の弾くバイオリンがおせじにもうまいとは言
えません。
 でも、あれだけはっきり言われると、腹が立ってしょうがありませんで
した。
「ムーシコスさーん」
 ぶつぶつ言うムーシコスの後ろからリムネーが声をかけます。ムーシコ
スは立ち止まり振り返りました。
「ハァハァ、ムーシコスさん。ごめんね」
「何で、君が僕にあやまるんだい? 君は何も悪いことはしていないだろ
う?」
「アハハ、その通りね。でもアロペクスの奴あんまりひどいこと言うんで
すもの。
 あんな失礼なことを言う親戚がいたら身内の恥ですもの。だから謝るの」
「う~ん、そんなものなのかなぁ」ムーシコスは首を傾げます。
「そんなものなの。
 でね、アロペクスのいる音楽隊なんかすっぱり縁を切っちゃって、私の
歌の伴奏をしてくれない?」照れくさそうにリムネーがモジモジ言いまし
た。
「え? 僕でいいのかい?」
「もちろんよ。言ったでしょ。あなたは確かにあまり上手じゃないけど、
あなたのバイオリンは何か惹き付けられるの。私も合奏みたいなことは上
手にできないたちなの。似たもの同士だと思わない?」
「僕、ムーシコス」ムーシコスはそう言って右手を差し出しました。
「私はリムネー」バイオリン弾きと少女は握手をしました。
「エヘ、ああ、やっぱり願い事って、自分から何かしないかなわないのね。
私の願い事はね、私と一緒に歌を歌ってくれたり楽器を弾いてくれる友達
をつくることなの。でも、やっと今、見つかったわ」
「ふ~ん」ムーシコスは分かったような分からないような顔をしました。
「伝説の銀のペンダントが無くても願い事が叶うのね。ああ、銀のペンダ
ントってね、そのペンダントを持つ人の願い事を叶えてくれるペンダント
なの」
「へぇ」
 ムーシコスは銀のペンダントについて、好奇心がくすぐられて、伝説の
銀のペンダントについて質問しようと言葉を選んでいた矢先に、リムネー
が次の言葉を続けます。
「じゃぁ、明日からさっそく始めましょう。白い時計塔の下で待ち合わせ
をしましょう。時間は3回目の鐘が鳴る頃」
「あ、うん。いいよ」
 ムーシコスはまた会えるのだからと銀のペンダントについての質問は次
の機会にすることにしました。
「ああ、なんだか明日がとても楽しみ。じゃぁねムーシコス」
 リムネーは手を振って走って帰っていきました。ムーシコスも手を振っ
てリムネーを見送りました。
 さて、指揮者のアロペクスとケンカしてしまい、音楽隊をやめさせられ
たムーシコス。とはいえ、音楽隊をやめたからこそ、リムネーという友達
ができました。
 人生万事塞翁が馬といいますが、これからムーシコスはどうなるのでし
ょうか?

 

★★★ムーシコスとクニークルスの座談会

「どうなっちゃうのかなぁ。僕・・・」
 それは次回のお楽しみ。まぁ、明日は明日の風が吹くよ。
 え? 僕は誰かって? それも次回のおたのしみ。

 ※この作品は、白い時計塔のある村の
http://homepage2.nifty.com/SON/DOUWA/DOUWA11.htm
 に掲載されている作品です。

 ムーシコスのバイオリン 2へ
http://son.cocolog-nifty.com/tetugaku/2006/02/2_921d.html

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