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エコサブロー(呟き尾形の創作童話・小説)

呟き尾形の創作童話・小説

 呟き尾形の創作童話・小説は、私、呟き尾形が創作した童話や小説を掲載するコンテンツです。
 既存の童話や小説や新たにかいたものも気まぐれにアップしていく予定です。

 今回は、エコサブローという短編小説を書きました。
 これは、サトルさんの書いたイラストから、私が短編小説をかいてみるという、一種のコラボレーション作品を作るという企画に結果的になりました(ですので、事前に小説のカットとして利用するこを承諾いただけたはずですが、サトルさんがやっぱり、イラストは削除するように依頼がありました)


 これを読んで楽しんでいただければ幸いですし、感想をいただければなお幸いです(笑)

 

 

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エコサブロー


 「お疲れ様。今日は帰るわね」
 私が手早く言うと、周りの研究員は、目を見開いて私を見る。
 そんな同僚の視線など無視して、私は女子更衣室に入り、白衣をロッカーに押し込めると、手早く私服に着替えた。
 緑色のラフなTシャツに、緑色に縦に赤いラインの入ったのヘルメット。
 それに、赤いスカーフを巻いているのだから、20世紀のヒーローのマスクドライダーそのものだと、同僚はからかう。

 だが、20世紀という歴史は、私からすれば、人類にとって暗黒の時代であったし、その中から見出せる唯一の光明こそ、そのマスクドライダーなのだ。
 そして、私は、愛車のエコジロー2000 ウィンドのいる地下の駐車場へむかった。
 エコジロー2000 ウィンド。
 風や太陽光による発電によって走行可能な二輪車である。
 エコジーロー2000は、ウィンドとコロナの2つのタイプがあり、ウィンドは風力を主体とし、コロナは太陽光発電を主体としているタイプである。
 スピードもパワーも単体ではではたかが知れている。
 仮に、20世紀のようなアスファルトで塗り固めるような、粗野な道ならエコジロー2000は、エネルギー不足で、たいして走る事はできない。
 しかし、22世紀の道は、道自体が太陽光や風力によって、電力を供給し、多くの車が走るエネルギーを保管し、助けてており、20世紀の乗り物より、速く、安全で、快適な走行が可能になっている。
 ちなみに、私のエコジロー2000は、市販されているものよりちょっと特殊につくっている。
 それは何か?
 現在開発中のAIを搭載いるのだ。
 まぁ、職権乱用という声もきこえるやもしれないが、そもそもAIは、学習してこそ価値があるものだから、実益を兼ねて、学習をさせているのだ。
 と、上司に説明したら、苦笑いをしながら許可は得られた。
 で、私が彼につけた名前がエコサブロー。
 エコサブローは、通常のバイクならライトにあたるところに、センサーがあり、人間の目のように、キョロキョロさせた。
 そして、私であることを虹彩認証で確認したようだ。
 虹彩認証とは、眼球の前にある薄い筋肉の膜である虹彩の模様を用いて認証を行うもので、指紋のように、個人個人ユニークなものである。
 双子の兄弟でも異なるのだから、個人認証には最適な方法だといえるだろう。
 実際、生後1歳頃から一生変化しないとされるので、ヘタにキーやカード、パスワードによるセキュリティーより、個人認証は確実というわけだ。
「キョウハ、ハヤイオカエリデスネ、ますたー」
「ええ、今日は、いいアイディアが出そうだわ。
 いつものところへ行って頂戴」
「しみゅれーしょんデハソロソロデスネ」
「ええ、正真正銘の天然はいいわよ」
「タノシミデス」
 私は、エコサブローにまたがり、ハンドルを握る。
 エコサブローの基本は自動運転だが、ハンドルの握る力や手からの発汗、熱によって、ドライバーの状態をエコサブローは認識する。
 これらの情報から、ライダーの健康状態とともに、その健康状態から、いわゆる感情を学習していく。
 そして、エコサブローは、ライダーを乗せて走行する事で、走行状態とライダーの情報からドンドン学習していくというAIだということだ。
 私はヘルメットとゴーグルを着用し、エコサブローに出発の合図を送る。
 エコサブローは、上機嫌で私を乗せて、いつものところへ出発する。
 自動運転なので、私は、思考をめぐらせることに集中できた。

 地下駐車場から、外に出ると、強い紫外線が私の体を突き刺す。
 20世紀に排出たフロンガスは、じわりじわりと、オゾンホールを広くし、未だに完全に閉じる事は無い。
 だから、私たちは、外に出るとき、顔や手足など、肌ける部分には、日焼け止めのローションを塗ることは、小さいころからの習慣で、日常茶飯事になっている。
 強い紫外線の降り注ぐ、空には、編隊を組んで雲のように浮かぶ物体がある。
 植物プラントとよばれ、そのプラントにより、少しづつだが、20世紀に環境破壊によって吐き出された、さまざまな廃棄物の有害物質を、強い紫外線を当てつつ、分解する環境改善プラントである。
 いわば、あのプラントは、環境改善プラントというわけだ。
 環境改善プラントといえば聞こえは良いが、20世紀からの負の遺産を処理する、実質的な廃棄物処理プラントだ。
 私が、20世紀を暗黒時代であると評価する根拠の一つである。
 もちろん、私が、20世紀は暗黒時代であると評価しているが、一般的な歴史の見方からすれば、20世紀は、科学と自由が革命的に広がった時代だといえる。
 たしかに、20世紀があったからこそ、22世紀という今があるのは認めざるを得ない。
 だが、その影には、科学の発達と当時の自由の象徴ともいえる、資本主義を根拠とした、私利私欲により、利己的な動機が、様々な環境破壊が正当化された。
 森林破壊。
 地球温暖化。
 オゾン層破壊。
 環境ホルモン。
 ダイオキシン。
 ヒートアイランド現象。
 核廃棄物核兵器。
 戦争。
 テロリズムなどなど。
 人類は、自らの首を自分で絞める愚行を経済発展と豊かさという大義名分によって、罪にもならず、合法的におこなわれていたのだ。

 もちろん、幸いにも、21世紀初頭でその愚かさに気がついた人類は、プラントピース(植物的平和論)をコンセプトに科学技術の発達を一丸となって目指した。

 プラントピース。
 20世紀から21世紀初頭の一般常識的概念において、生物や進化といえば、動物のみが指す言葉だった。
 もちろん、学術的には動物と植物をふくむ存在ではあったが、当時の論文やインターネットの議論の記録に目を通せば、動物のみをさしており、植物はほとんど無視されていた。
 しかし、皮肉にも、20世紀の愚行を態度で抗議を示したのは、植物だった。
 化石燃料を過剰に燃焼させることによって、二酸化炭素が増え続け、(進化説もだが、現在でも地球温暖化の原因が二酸化炭素の増加であるかどうかについての、真偽が議論されているが)地球温暖化が進んだという仮説が有力視されている。
 さらに、オゾン層破壊によって強すぎる紫外線によって、動物たちは環境に適応することはせず、動物は移住によって、進化の道を拒否した。
 しかし、植物は、その地に根ざし、変化した環境に適応した。
 その進化は著しく、なんと環境ホルモンを養分とする植物や、強い紫外線をもって成長する植物まで現れた。
 さらには、放射線まで吸収する植物まで現れた。
 これだけを聞くと、人類にとっていい事尽くめのように聞こえるが、それはいわば、植物の抵抗といえるものだった。

 植物の反乱。
 実際、当時の歴史にはそう記してある。
 人類が環境を破壊した分だけ、それを回復するように、進化した植物が繁栄したのだが、人類の環境破壊があまりにも著しかったために、人類の生活圏を侵略する勢いで進化した植物が増え続けたのだ。
 それは、人類にとってあまりにも皮肉な現実だった。
 その植物を排除すれば、環境破壊が進み、植物を排除しなければ人類の生活圏が侵されたのだから。
 環境破壊が進んだ文明地ほど、植物の反乱は激しく、多くの都市はその都市機能を低下させた。
 と歴史の授業では習わされた。
 そして、歴史の授業というのは、淡々とした事実ないし、その社会の教育に都合よく教えるものである。
 ここからは、歴史の授業ではおそわらないことだが、この植物の反乱を重く見た当時の人類は、意見が大きく二つに分かれたといわれている。
 排除する選択と、人類が環境破壊さえしなければ、共存できるという共生という選択である。
 結果として一つにまとまることなく、人類はそれぞれの信じる道を進む事になった。
 その結果、現代(いま)がある。
 そう、その植物との共存こそが、空に浮かぶ植物プラントだということである。
 人類は、様々な環境破壊をする有害物質を、植物プラントに押し込めたのだ。
 無責任といえば、無責任な話ではあるが、現実を踏まえた解決策というのは、たいてい苦肉の策になるものだし、苦肉の策というものは、客観的にみれば、無責任なものだということだ。
 そして、私は、その無責任な技術開発に加担している。
 ・・・同罪だ・・・。
 弁明しようの無い罪の意識が重苦しく、胸と肩に重りをつけた。
 これから人類はどんな道を歩むのだろう。

「ツキマシタ。ますたー」
 エコサブローの声が私の思考をいったんとめる。
 海岸沿いの道端に停車した。
「ありがとう、エコサブロー」
 私は、ウィンクをして、エコサブローに礼をいう。
 人工的に舗装された道に負けることなく、その下の地面から力強く花を咲かせる植物があった。
 この花は、すでに絶滅したとされた、環境破壊される前の植物だ。
 人類が、半世紀で破壊した自然環境を、1世紀以上の時間をかけて、環境破壊される以前の地球に回復したからこそ、目の当たりに出来る光景だ。
「私たちの選択は間違っていなかったわ。
 人類さえその気になれば、共生は可能なのよね。
 無駄じゃないのよね!」
 私は、目頭が熱くなり、それをごまかすために、青空に浮かぶ、植物プラントを見上げた。

END
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